栃木のサウナ施設での死亡事故で改めて考えたい「サウナビジネスとは?」
サウナ施設の池で死亡の男性 知人と入るも1人残り溺れたか #nhk_news https://t.co/t03LaHycV6
— NHKニュース (@nhk_news) June 11, 2023
大変残念な事故が起こってしまった。まず事故で亡くなった方、その後遺族にお悔やみ申し上げます。
私は、このサウナブームで、旅館ホテルへのサウナ導入の相談が20件以上受けている。
全てNOと答えている。
そして、これからもNOだ。
事業再構築補助金を利用して、この春までに全国で多くの宿がリニューアル工事を行っており、その中にサウナ新設を所々で目にしている。そこで、今一つ、サウナ導入において考えなくてはいけない事をまとめてみた。
サウナ導入する前に、考えておくべき事
① 設備投資額の低さ = 参入障壁の低さ
様々なサウナがあるが、いくら位で購入設置できると想像できるだろうか?
例えばテント式サウナであれば、ヒーターも含めて一張り100万円を大きく下回る金額で購入できる。
そして、最近よく見る樽型の木製サウナであれば、サイズの大小で金額は変わるが200万円超で購入できる。
1回の利用料金は2,000円前後なので、かなり投資回収は早いビジネスモデルだ。
だからこそ!参入障壁が低く、この2年間で量産されてしまった。
コロナ禍で一気に増えた唐揚げ店を覚えているだろうか?設備投資が軽く、レシピがネットに氾濫しており誰でも美味しい味が作れてしまう。参入障壁が極めて低い飲食店舗だ。
当然ながら、参入障壁の低さは過度の競争を起こし、過剰供給による飽きを誘発させ、一気に衰退期に落ちるパターンだ。
私は常々サポートしている宿に伝えているのは、
「大河では決して泳いではいけない。大河の横に流れている小川で一人悠々と泳ぐことを忘れるな。」だ。
これは、私の学び舎「ドン・キホーテ」で学んだ経営の原理原則だ。
サウナは露天風呂付客室以外にこれといったヒット商品(設備)に恵まれていない宿泊業界に、光を見せてくれた。
しかし、この参入障壁の低さがこの1~2年で大きな影響を与えてくるだろう。
② 維持費の高さ
私がこれまで相談を受け、訪問した宿泊施設で記憶に残るだけでも10カ所以上のサウナが運転を停止していた。
その理由は2つだ。
まず、電気代が高い。
男女混浴サウナは宿泊施設では現実的に難しい。そこで2か所設置となり、大きさも多くが6畳間サイズが平均だ。営業時間の午後3時~夜12時まで9時間、100℃近くの温度を維持するとなると、それなりに電気代がかかる。想像してもらいたいのは、エアコン30度設定で1日9時間回したら電気代はいくらいくだろうか?それを80℃、90℃を維持するためには、、、
そして、故障した時の修理費。
修理費の大小はケースバイケースだが、その利用頻度と実際の集客におけるサウナの力を考えた時に、修理する必要があるのか?という事になりがちです。
③ 今のサウナブームの中心は若者
この点が一番の問題と思っていますし、概ね私の予想は2023年6月時点では合っていました。
「整う」
という言葉に乗って、SNSなどでサウナ女子やサウナーという言葉が出てくる時点でブームなのです。
ブームはバブルのように急に膨らんで消えるのです。消えた後に残るのは、商品力を失ったサウナと負債のみ。
若者のSNSパワーは大変強力で目を見張るものがありますが、次々と新しい物は出来ては消えていきます。
それに、サウナの特性でもありますが、整うために限界まで汗をかく危険性。
気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることをヒートショックといいます。この血圧の乱高下に伴って、脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの病気が起こります。今回の事故の原因は不明ですが、ヒートショックが年配者だけに起こる疾患だと思わないで貰いたいです。40度の温泉に入るのと、90℃のサウナに入るのでは身体への負担は全く違います。
最後に、
今回の事故は関係ありませんが、事業再構築補助金のようなあぶく銭が出てくると経営者は急な決断を迫られます。
そこで、みんな失敗するのです。
「あの時、あんな設備投資は必要なかったし、そんな無理をしなければ良かったのに。」って苦境にある宿はみんな思っています。宿泊業は設備投資業と言われるほど、経営の大きな部分で設備と関わります。その見誤りがボディブローになって、経営をきわどい世界に追いやるのです。
当社では、無料経営相談を承っています。どんな小さなことでもご相談下さい。