【旅館再生:考】 『生き残る宿』と『生き残らない宿』判別法
ちょっと強めのブログタイトルにさせて頂きました。
来年3月末に迎える『金融円滑化法の終了』にあたって、
『生き残る』という言葉が、現実味を帯びてくるお宿様が
沢山出てくると思います。
一度バタバタしてしまうと、人の話は聞けなくなってしまうものです。
そうなる前に『気づき』があれば、生き残る可能性は高くなります。
ぜひこのブログをお読みいただき、『気づき』を感じて頂ければ
幸いです。
数か月前に、ある地方金融機関の担当者の方とお話をした時に
尋ねられたのが、
『旅館は複雑でなかなか状況が読めないんです。数字的な判断はできても、
これから支援を継続するしないの判断が難しいんですよ。
何て言ったらいいのかな、有望か有望じゃないかっていう。自分がお客さん
としてみたら悪くないと思っても、市場性を考えたときにこのまま旅館って
生き残れるかって思ったりもするんですよね。どう思います?』
という質問でした。
さすがの数字のプロでも、業態の成長性まで個別に判断するのは
実に難しいと思います。
そこで私が一つの判別法をお伝えしました。
『生き残る宿』 と 『生き残らない宿』 の判別法
それは、
次の公式で解けます。
X = 宿-部屋-風呂-料理
この公式で、
X=0(ゼロ)
なら『生き残らない宿』ですし、
X=サムシング(施設・設備以外)
なら『生き残る宿』です。
一部例外があって、X=0でも生き残る宿があります。
それは、マネーゲームに耐えうる財務基盤をもつという条件を
満たす場合です。
どうでしょう? Xに残っていますか?
明確に、具体的にX=何があるか言えますか?
X=おもてなし、サービス
と思う方は注意信号です。
本当におもてなし一本で勝負できますか?
おもてなしに1万5千円も払ってもらえますか?
現在、『部屋・風呂・料理』の市場価格は、6000円~7000円。
これが現実です。
20000円の宿泊プラン=
『おもてなし(14000円)』 + 『部屋・風呂・料理(6000円)』
で、お客様は買ってくれますか?
当然、買ってくれませんね。
家族4人で約6万円のおもてなしって、何をしてくれるんでしょうか?
当然このような商売は生き残れません。
『部屋・風呂・料理』を、市場価格に合わせて売るしかないのか?
いいえ。そんな安く売る必要はありません。
どんな商売でも利益度外視の商品は、
買う側も売る側も得しないのが定石です。
年1~2回の旅行をお客様は、
『あー良い旅行だったねー。また行こうねー』
と言って帰りたいのです。
そのためには、そこそこの出費をお客様は許容して頂けます。
では、どうするか?
『部屋・風呂・料理』 を売るのではなく、
『コンセプト』 を売るのです。
もっと簡単に言うと、
『コンセプトが浸透した 部屋
コンセプトが浸透した 風呂
コンセプトが浸透した 料理
コンセプトが浸透した 働く人
コンセプトが浸透した サービス
コンセプトが浸透した 営業方針
コンセプトが浸透した ・・・・』
を売るのです。
宿が持っている人・モノ・事を通して、
あなたの宿にしかない『コンセプト』を感じて頂き、
お代金を頂戴するのです。
アップルも、ドン・キホーテも、無印良品も、ディズニーランドも、
ウォールマートも、その会社にしかない『コンセプト』を売ってます。
あなたの周りにある、
統一感があって、他の追随を許さない、ぶれない会社を
よーく見てください。
人・モノ・事を売らずに、『コンセプト』を売っているはずです。