宿泊業界の経営コンサルタントとして、毎年 ホテル・レストランショー（HCJ2025） に足を運び、最新の業界トレンドや注目の商材をチェックしています。
今年は 過去数年の中でも見てみたいと思わせるような出展者数が多く、会場は大いに賑わっていました。例年はクライアント（旅館・ホテル関係者）と一緒に回るため、じっくり話を聞く時間が限られるのですが、今回は普段立ち寄らないブースの担当者とも多くの会話ができ、貴重な情報収集ができました。
今回は 「ビュッフェ」「調味料」「客室装飾」「PMS」「DX」 という5つのカテゴリーに分けて、気になったアイテムを紹介しつつ、業界の今後について考察していきます。
1. ビュッフェ系：目新しさに欠けるが、バリューアップは可能
例年に比べて ビュッフェ関連の新規提案が少なかった ように感じました。特に目を引く新商品はなく、各社とも定番の展示内容が中心でした。
ただ、そんな中で注目したのは 「ダイヤ冷ケース株式会社」の冷ケース です。
この冷ケースは、単に食材を陳列するためのものではなく、ビュッフェの“見た目の価値”を大幅に向上させる アイテムです。
例えば、冷菜やデザートを並べるだけでも「豪華さ」を演出でき、バイキングの価値がワンランク上がります。
💡 ポイント:
✔️ 高級感を演出できるため、客単価アップに貢献
✔️ 陳列の仕方次第で「特別感」を持たせられる
✔️ 価格がやや高いが、導入次第では強力な武器に
2. 調味料系：ハンディブロスは本物の出汁に近い
和食を提供する宿泊施設にとって、「だし」 の品質は非常に重要なポイント。しかし、昨今の乾物価格高騰により、出汁のコスト負担は大きくなっています。
今年の展示で気になったのが、「マルハチ村松のハンディブロス」 でした。
一般的な出汁パックは「パック出汁特有の風味」が出るため、繊細な椀物や鍋には向きません。しかし、このハンディブロスは 濃縮液タイプ で、 しっかりと本格的な出汁をとったような味わい になるため、違和感なく使えるのがポイントです。
💡 ポイント:
✔️ 見た目・風味ともに本格的な出汁に近い
✔️ コストを半額程度に抑えられる
✔️ 料理人の手間を大幅に削減できる
宿泊業界では、料理のクオリティを落とさずコストを最適化することが求められていますが、この商品はその課題を解決できるかもしれません。
3. 客室装飾系：低コストで高級感を演出できる「咲羅多」
宿泊施設のリニューアルにおいて、「デザインを一新したいがコストは抑えたい」 という悩みは非常に多いです。そこで注目したのが、「白寿株式会社の咲羅多（サクラダ）」 です。
このアイテムは、1〜2万円程度で購入できる室内装飾品で、簡単に部屋の雰囲気を変えることができます。
💡 ポイント:
✔️ 低コストで客室に高級感をプラス
✔️ デザイナーに頼む必要がない
✔️ 失敗してもダメージが少ない
リニューアルの際に、低予算で「雰囲気を大きく変える」選択肢 として、今後注目されそうです。
4. PMS系：格安PMSと新勢力の台頭
宿泊施設の業務効率化に欠かせないPMS（宿泊管理システム）ですが、今年は 格安PMSのSTAYSEEや、サイトコントローラー機能付きのCHECK INN 、陣屋コネクトが目立っていました。
また、従来のPMSとは異なる 「セールスフォース的なアプローチを持つ新しいPMS」 も登場しており、宿泊業界のDX化はますます進んでいる印象です。
ただし、まだ 「開発者目線で作られた感」が強い ものが多く、シンプルでPCに弱い方でもすぐに使えるような直感的なUI/UXが求められます。その点で旧来からある国内系PMSは安心感があると言えます。PMSでひとつのネックだったのが、団体など宴会管理でしたが、昨今の団体旅行者の急減で大きな施設でも簡易なPMSが使えるようになりコストカットが効くようになってきていると思います。
5. DX系：AIインカム「VOYT」が意外と便利そう
毎年DX関連のツールが出展されていますが、実際に 「運用レベルまで落とし込めるツールが少ない」 というのが実情です。
そんな中、今年気になったのが 「VOYT（AIインカム）」 です。
このアプリは、インカムの会話内容を自動で文字化する機能を持っており、スタッフ同士のコミュニケーションミスを減らせます。
💡 ポイント:
✔️ インカムの会話を文字化し、聞き逃しを防ぐ
✔️ あとで会話内容を確認できる
✔️ ホテル業界以外にも広がる可能性がある
✔️ AI翻訳機能で日本語が不自由な外国人スタッフにも使える
費用次第では、広く普及する可能性がありそうです。
🔹 まとめ：2025年の宿泊業界に役立つヒント
ホテル・レストランショーでは、多くの新商品・新サービスが登場しましたが、「コストを抑えながら、付加価値をどう高めるか」 が重要なポイントでした。
特に ビュッフェのバリューアップ、調味料の活用、客室装飾の工夫、DXツールの選定 などは、これからの宿泊業経営において大きなカギを握るでしょう。
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