宿泊施設の経営者にとって、自分たちの宿が「選ばれない理由」を抱えていることほど致命的な問題はありません。お客様に選ばれるためには、施設の弱点を見極め、対策を講じることが必要不可欠です。本記事では、私がプライベートで絶対に泊まらない宿の特徴を挙げ、それぞれの課題と解決策を解説します。
1. 週末の空室が目立つ宿
週末に空室が多い宿は、人気がないように見られがちです。特に観光地では、週末の稼働率が低いことが予約サイト利用者に目立ち、競争力の低さを印象付けてしまいます。また、週末に集客できないということは、ターゲット層の選定やプラン内容に問題がある可能性があります。
対策
- 掲載写真の撮り直しと更新。
- OTAのプロモーション機能（booking.com等）を積極活用して、週末の露出を増やす。
- SNSを活用したターゲット層への直接訴求を強化する。
2. 料理写真がプロっぽすぎる宿
料理写真が過剰に整列されていたり、彩度を上げすぎる加工されている宿は、顧客に「実際と違うかもしれない」という不安を抱かせてしまいます。不安を持ったお客様はGoogleで宿泊者が投稿したクオリティの低い写真を見て落胆し、他の宿を探します。また、料理の詳細が分かりにくい写真は、料理の魅力を伝えきれないだけでなく、施設の信頼感を損ねる原因にもなります。
対策
- 実物に近い料理写真を使用し、単品料理の写真も掲載する。
- 地元食材や季節の料理を中心に撮影し、リアリティと魅力を両立させる。
- プロのカメラマンに昭和のような写真を撮らないように依頼して写真の質を確保する。
3. 予約サイトの口コミが4.2以下の宿
口コミスコアが4.2を下回る宿は、利用者からの信頼を得にくい状況にあります。特にリニューアル後にもスコアが低い場合、運営上の課題が十分に解決されていない可能性があります。
対策
- ネガティブな口コミの内容を分析し、改善計画を実施する。
- 弱みを上げるのではなく、強みをさらに強めて、弱み改善は後回し。
- 社員全員で共有できる評価向上の目標を設定する。
4. Google口コミが3点台の宿
Googleの口コミスコアが3点台の宿は、お客様の初期段階での選択肢に入らなくなっています。Googleのスコアは年々ユーザーの貴重な情報源になってきており、無視できない存在になりました。さらに、Googleに実際の写真が少ない宿は、視覚的な信頼性が欠けています。
対策
- お客様に印象付けられる商品開発（宿泊者にGoogle口コミを促進するキャンペーンを実施すると危険です！）
- GBP内の情報を充実させて定期的に写真を更新し、施設の魅力を視覚的に伝える。
- クレームに対して迅速かつ誠実に返信する。
5. 水回りの写真がない宿
水回りの写真が掲載されていない宿は、顧客に老朽化や清潔感の欠如を連想させてしまいます。お客様が宿を比べるレベルが上がっており、客室、寝室、部屋からの眺めは当たり前で、宿泊滞在時に重要な要素になる浴室、トイレ、洗面台などの水回りの写真がない宿は候補から脱落していくでしょう。
対策
- 水回りの設備を優先的にリニューアルする。
- リニューアルできなければ、盛り盛りのアメニティで表面を埋める。
- 正直に設備の耐久性やメンテナンス状況も合わせて伝える。
6. 公式HPの作りが古い宿
公式HPのデザインが古い宿は、顧客に「経営が時代遅れ」という印象を与えます。
対策
- モバイル対応のデザインに刷新し、利便性を向上させる。
- 季節ごとのイベント情報やプランを定期的に更新する以前に、写真クオリティを上げる。
- 専門家によるSEO対策を施し、検索順位を向上させる以前に、MEO対策。
7. 悪い口コミへの対応が冷淡な宿
低評価の口コミやクレームに対する対応が冷淡な宿は、顧客に「顧客目線ではない」という印象を与えてしまいます。
対策
- ネガティブな口コミにも迅速かつ誠実に返信する。
- 社内でクレーム内容を共有し、再発防止策を立てる。
- 口コミ改善の成功事例を社内で定期的に発表し、ストックする。
8. キャンセルポリシーが厳しすぎる宿
自然災害や冠婚葬祭など様々な理由で旅行はキャンセルされます。キャンセルポリシーが厳しい宿は、顧客に柔軟性のない経営スタイルを印象付け、予約をためらわせる要因になりますし、クチコミ点数の低下を招きます。
対策
- キャンセル料をシーズンや予約方法ごとに柔軟に設定する。
- キャンセルポリシーを他社と同様に変更する。
- キャンセルの事情を考慮するなどお客様に寄り添った文面に修正する。
9. 恒常的に値引きプランを販売している
値引きすると言う事は、正規料金で売れないという証拠になります。オフシーズンの厳しい時期は値引きという手法もなくはないのですが、ハイシーズン前後のそこそこ埋まる時期でも値引きしている宿は大抵何かあることが多いです。そして、何よりも値引きすると売れるという一番危険な安易な方法に頼ると癖付いてしまい、値引き販売から逃れられない宿になります。
対策
- 商品を見直してお客様から価値ある商品にする。
- 値引きを止める。値引きを止めて稼働が落ちても、意外と売上が変わらない例が多いです。
- SNSでお客様が行って見たい景色を沢山投稿する。
まとめ：選ばれる宿を目指すために
宿泊施設が成功するためには、現状の課題を的確に認識し、それに対する対策を講じることが重要です。この記事を参考に、自社の問題点を一つずつ改善していくことで、顧客に「選ばれる宿」へと進化していけるはずです。
