2025年、宿泊業界は新しい宿泊スタイルやマーケティング手法の進化、コスト管理の見直しなど、多くの変化が予想されます。旅行ユーザーにとって新しい体験が楽しめる一方で、宿泊事業者にとっては利益を確保するための戦略が問われる年になるでしょう。以下に、注目すべき10のトレンドを解説します。
1. 多様化が進む宿泊形態と「〇〇さんプロデュース宿」の登場
グランピングやカプセルホテルに続き、2025年には「泊まらない宿」や異業種から参入した新しいスタイルが注目されるでしょう。その中でも、著名人がプロデュースした宿が話題になる可能性があります。以前の飲食業界で見られた「〇〇〇さんのプロデュースの居酒屋店」の宿泊業バージョンが登場し、話題性を活かした一時的な集客が進むと予想されます。
2. スタグフレーションが進行し、利益確保が課題に
2025年は2024年以上に物価高や増税の影響で、宿泊業界も利益圧迫の課題に直面します。ただし、飲食業ほどドラスティックなコストカットを行う宿は少なく、最近の飲食店でよくある「HPで見たのと全然違う」といったギャップが生じにくいのが宿泊業の強みです。宿泊事業者にとっては、まだ多くのコストカット余地が残されており、利益をしっかり確保するための取り組みが求められるでしょう。
3. リニューアルしたのに値下げ販売が増加
2024年にはすでに見られ始めていますが、リニューアルして施設を改善したにもかかわらず、需要を喚起するために値下げ販売を行う宿泊施設が増えています。この傾向は2025年にさらに加速すると予想されます。リニューアルの目的と収益性をどう両立させるかが課題となるでしょう。
4. オールインクルーシブ宿のさらなる拡大
料金に食事やアクティビティを含めた「オールインクルーシブ宿」が引き続き人気を集めるでしょう。チェーン系宿泊施設が導入しやすい戦略として採用を進める一方、似たような施設が乱立し、ブランド力や独自性を失う懸念もあります。
5. インフルエンサーマーケティングは右肩下がりへ
インフルエンサーマーケティングは引き続き活用されるものの、パターン化した「宣伝っぽい」手法では効果が薄れていく傾向があります。2025年には自社SNSの進化が求められ、顧客と直接つながる双方向のコミュニケーションや、信頼性の高いコンテンツの発信が成功の鍵となるでしょう。
6. DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速と注意点
無人チェックインや自動会計システムなど、デジタル技術を活用した効率化が進む一方で、「おもてなし」の要素が薄れる可能性もあります。特に高付加価値を提供する宿泊施設では、デジタル化のバランスが重要です。利便性とホスピタリティを両立させることが求められます。
7. 再び注目を集める激安宿
コロナ禍以降縮小していた格安宿が再び注目される兆しがあります。サービスをさらに簡素化し、1万円以下の料金を実現する宿が登場するでしょう。ただし、過度なコスト削減が顧客満足度に影響を与えないよう注意が必要です。
8. 高付加価値補助金の返済に苦しむ宿が増加
補助金を活用してリニューアルを行ったものの、期待通りの稼働率や客単価を達成できず、返済に苦しむ宿が増える可能性があります。ターゲット層に合わない過剰な高付加価値投資が裏目に出るケースが懸念されています。
9. コスト管理と利益確保が求められる年
2025年は宿泊事業者にとって、コストを見直しつつ利益を確保することが求められる年となります。設備投資やオペレーションの効率化を通じて、経営の安定化を目指す必要があります。一方、旅行ユーザーはその結果として安定した品質の宿泊体験を享受できるでしょう。
10. チェーン系旅館ホテルの隆盛
2025年は、大江戸温泉物語、星野リゾート、IHGなどチェーン系旅館ホテルがさらに勢力を拡大する年になると予想されます。効率的な運営体制やマーケティング戦略、オールインクルーシブ宿の導入などを武器に、地域ごとの市場を着実に押さえていくでしょう。一方で、個人経営の宿泊施設にとっては、この流れに対抗するための差別化や独自性を打ち出す戦略がより重要となります。チェーン系宿の隆盛は、宿泊業界全体に新たな競争を生む転換点となりそうです。
まとめ:宿泊業界の未来を共に考える年に
2025年の宿泊業界は、多様な変化と課題が交錯する年です。旅行好きの皆さんには新しい宿泊体験を、宿泊事業者には次の成功のヒントを提供する機会が広がります。この予測を参考に、旅行計画や事業戦略に役立てていただければ幸いです!