お宿Q&A

知っておいて損はない宿泊コンサルの豆知識

【財務・経営】

Q: 近くに激安旅館が出来てしまって困っています。どうすればいいでしょうか?

激安旅館が出来て驚いても、焦る必要はありません。対処法は色々あります。激安旅館には激安にする理由と、激安にできる理由があります。「激安にする理由」は、激安にしなければ既存旅館の皆さんと競っても勝てないからです。「激安にできる理由」は、細かいコスト管理を徹底するからです。

激安と言う同じステージで戦うことは、自滅行為になります。貴社が最も得意なステージで激安旅館と戦うことで、影響は小さくできます。激安旅館チェーンの得意なところは、オペレーションやサービスを統一化することです。統一させることで、コストを圧縮させています。逆に苦手なところはお客様ごとに変化するオペレーションやサービスです。

戦略としては、相手が苦手なところに注力することで、打開策が見えてきます。

Q: 可視化(見える化)させると言うが、どこまで見せれば良いですか?

可視化(見える化)の最大メリットは、効率性がアップすることです。その影響分野は多岐に渡り、見えることによって打合せも減り、意思疎通が良くなり、職場環境が向上し、モチベーションもアップするなどあります。可視化の範囲はざっくり言いますと、自分が見せられると思う範囲の1.5倍です。

経営指標などを隠そうとされる方が多いですが、見せることで社員の皆さんはそれなりに理解し行動してくれます。例えば、金融機関が債務者区分を教えてくれないという経営者様の悩みがあるかもしれませんが、それと全く同じです。分かれば何かしらの対応を取る事ができ、そこから悪い方向に行こうという人は極々稀です。

Q: 旅館でブランディングとは何をすればよいですか?

5年、10年と積み重ねていくことでブランディングは確立していきます。しかし、ブランドは1日にして無くなる事もあります。ブランディングは1日にして成りませんが、1日1日の努力が旅館ブランドを確立させていきます。情報化社会によって広く情報を何度も伝播できるようになりました。この情報化を使いそれまでに数十年かけていたものが、数年で成し遂げられる状況にもなっています。まず手始めに旅館のイメージ写真を決めましょう。「旅館のイメージ」を象徴する写真です。そのイメージ写真は不変的なものになりますので、時間をかけて決めましょう。そこから決めていくといいでしょう。


【販促・営業】

Q: HPをリニューアルすべきかどうか迷っています。

HPは「お宿の看板以上の看板」と言われる大事な商品です。良いものを作ろうとするとそれなりの費用はかかります。一般的には安くて50万円、高いと200万円オーバーとそれなりの出費になります。安易に変えるべきとは思いませんが、急を要するのであれば3つの確認事項をチェックしてください。

① 「HPコンセプト」と「お宿コンセプト」は一致していますか?

② 周辺旅館のHPはくまなく調査しましたか?

③ 貴社の公式HPはどうあるべきかという考えはお持ちですか?

Q: 料理がおいしいと評判ですが、予約が思うように入りません。どうすればよいですか?

逆においしくない料理を探すのが難しい世の中になった現在では、おいしい評判は当たり前だと考えて頂いた方が良いと思います。それよりも『なぜおいしいのか?』をお客様に理解して頂くことが重要です。『おいしい』にも段階がありますので、その説明によって『大変おいしい』のか、『おいしいのか』、『体験したことが無い位おいしい』が決まります。その説明をストーリー化させて、お客様に分かりやすく伝えると、お客様は美味しさの「価値」を感じて、それなりの料金を払ってくれます。

Q: 目玉商品というのはどうやって開発すればいいですか?

目玉商品は目玉だけに目立たなければいけません。お考えのマーケットに同様の商品があるのかないのかを確認するのがまず必要です。確認できたら、お宿様や地域性に由来する物を探しましょう。地域性を加えるだけでも広域マーケットからすると、オンリーワン感が出てきて、その場所に行く価値が生まれます。しかし、地域性を出すと「地域の競合がみんな一緒」なんていう事が起こります。まずはそれでOKにしましょう。競合がいるからこそ切磋琢磨して、洗練されていく可能性が高くなります。

Q: 料理評価が上がらないのですけど、何か良い方法はありますか?

第一に最低限として『味』の問題があります。既製品の食材を使っている場合は、全て今すぐ捨てるくらいの心意気がないと、ファミレス以上に美味しいは超えられないでしょう。それをクリアした上で考えるのであれば、第二にお客様として『料理』を体験してみると『料理評価が上がらない理由』が見えてくると思います。相談のある会社のほとんどで、経営者又は幹部の方が自社商品(宿)をお客様の立場として、経験する機会がほとんどありません。お客様が良いと言わないのですから、お客様になってみれば少しは意見に共感できるかもしれません。

また、お料理自体は問題が無くても、その前のご案内に問題があって料理評価が下がっていたお宿様もありました。まずは販売している宿泊プランを自ら体験してみましょう。

Q: 女性向けのプランは必要ですか

旅行先決定権の7割は女性と言われています。女性を外して旅行を考えるとターゲットマーケットが縮小しますので、女性向けのプランを提示することは重要です。アメニティを揃えれば女性客が振り向いてくれる時代がありましたが、もうそんな小手先では女性客は振り向いてくれません。あなたの宿でしか提供してない、女性向けの体験(コト)的なサービスを提供すると良いでしょう。

Q: スーパー銭湯の影響で日帰り客が減りました。どのように対策すれば良いですか?

スーパー銭湯の影響が確定的なのであれば、まずはそのスーパー銭湯に10回、20回と足を運びましょう。そして、なぜスーパー銭湯にお客様が流れたのかを研究しましょう。必ずお客様が流れた理由があります。その理由が見つからない限り対策は打ちようがありません。

しかし、本当にスーパー銭湯の影響でしょうか?日帰り温泉ではアンケートが採りづらい傾向はありますが、お客様の声を一度聞いてみてはいかがでしょうか?意外とそこに問題が隠れている場合があります。

Q: 立地が悪いと集客には難しいですか?

いいえ。交通の便が悪いから、街中から遠いからは必ずしも集客が出来ない要因にはなりません。例えば、北海道にある【あかん遊久の里鶴雅】さんは、阿寒湖に面しているとはいえ札幌市内から328km(車で5時間以上)という絶縁の土地で大繁盛されています。立地が悪いという事は逆に考えるとお客様が住んでいる街中にはない観光資源が多い証拠です。都会の観光地は観光資源の少なさに悩まれています。無いものねだりになってはいけません。よーくお宿の足元を眺めてください。必ずお客様が行ってみたいと思う資源はあるものです。

Q: 一人旅のお客様用の料金設定が難しいのですが、どうすれば良いですか?

 一人旅の料金設定で良く見かけるのが、2名1室利用基準の客室単価設定がされておりそれを適用して2名分の料金になっているか、1割、2割値引かれてはいるが依然としてかなり高いケースです。どちらも手も足も出ない料金になってしまい、ビジネスホテルや温泉のあるビジネス旅館などに流れています。

本気で一人旅のお客様から予約を取りたいのであれば、2名室利用料金の1割から2割増し料金で対応しましょう。30代男性の婚姻率は約50%です。もうお一人様が当たり前時代です。

Q: 源泉かけ流しをアピールしたいのですが、良い方法はありますか?

はい、あります。源泉かけ流しは温泉好きのお客様には効果的なキーワードです。予約サイトを中心に『源泉かけ流し』が差別化の一つの手法であったのが、最近ではどこもかしこも『源泉かけ流しの宿』になってしまい希少価値は薄れています。そこで源泉かけ流しの湯量豊富さをアピールしてはいかがでしょうか?例えば、お部屋の蛇口のお湯に源泉を利用したり、部屋風呂に源泉を入れるサービスを行ったりも良いでしょう。目立つ声にはなりませんが、大浴場に入れないお客様の需要は膨大です。

Q: バイキングの競合宿が増えて困っています。お客様を取り戻す方法はありますか?

はい、あります。バイキングの利点は、多くの種類の中から好きなものを好きなタイミングで食べられるところにあります。しかし、多品種化をするとそれぞれの加工過程を短くするなどの工夫が必要になって、特徴付けが難しくなります。

 特徴が無くなると、品数勝負になりますので、そこはチェーン系のバイキング宿の独壇場になってしまいます。そうならないためにも、バイキングに多品種とは違った印象を残せばよいのです。例えば、地元の行列餃子店に夜1時間だけでもよいのでテナント出店してもらう案も良いでしょう。また、全国時期によっておいしいものがたくさん取れるエリアが変わりますので、九州畜産フェア、四国うどんフェア、東北うまい野菜フェアなどのコーナーを時期に応じて作って7品~10品位を入れ替えます。数で勝負できなければ、質で勝負です!

Q: スイーツに力を入れてやっていきたいのですが、参考にすると良いお店はありますか?

はい、あります。モンサンクレールも極上ですし、自由が丘ロール屋も本当においしいです。辻口シェフの贔屓をするわけではありませんが、どちらも一度はトライすべき名店です。

しかし、本当にスイーツで勝負する心構えはありますか?数千店ではとてもきかない数のお店が切磋琢磨する世界です。一生をスイーツに捧げようとしている方が無数にいらっしゃいますし、その渾身の味を本物と思っているスイーツマニアも無数にいらっしゃいます。気まぐれでトライするにはスイーツはハードルの高い世界だと思っています。中途半端な商品を作って、逆効果にならないようにご注意ください。

Q: GW前後のくぼみ時期に集客はどうすれば良い?

 GW前後は繁忙を嫌うお客様や、GWに休みを取れないお客様などが主たるターゲット層となります。時期的にも団体客というより個人客がメインとなりますので、ネットでの集客に注力しましょう。通常の宿泊プランでは振り向くお客様ではありませんので、ターゲットにズバリの商品開発が必要です。例えば、繁忙を嫌うお客様は高速道路の渋滞を嫌うお客様がいらっしゃいます。ただ、どうやっても埋められない時期はあります。そういう時期だからこそやるべきことはあるものです。基本は繁忙期をしっかり稼ぐための仕込みと商品開発、あとそうじです。時間を有効に使いましょう!

Q: ダイレクトメールは効果がありますか?

はい、効果はあります。以前よりだいぶ効果は薄れましたが、SNSを使わない層というのはいるものです。DMの内容にもよりますがDM発送での予約率は約3%程度が一般的です。100件送って3件です。お金をかければかけるほど成約率は高まる傾向ですが、コストパフォーマンスを高めるのであればメイドフォーユー戦略が有効です。お客様の志向に合わせた商品を個々に提供します。1顧客1DMが理想ですが数百、数千と送るとなると現実的ではありません。お客様の志向を10種類位に絞ってそれぞれに向けたDMを作成します。例えば、『のんびりしたい長時間滞在志向のお客様』であれば、長時間滞在にマッチした『快眠ベッド&枕』をご用意するプランを掲載するのがよいでしょう。カテゴリー分けで注意したいのが年齢別です。志向が細分化された現在では年齢別のカテゴリーは意味を成しません。

Q: SNSは始めたほうが良いでしょうか?

SNS(ツイッター、インスタグラム、Facebook等)を始めるのは無料ですし、簡単ですが、2日に1回の更新ができるかどうかで判断しましょう。インターネット販促で一番重要なのは更新の継続です。画面に表示されたものがお宿の看板代わりになりますので、更新ストップ=メンテナンスの悪い宿=お客様へのサービスも悪い?と繋がってしまいます。ブログ、Twitterなどもありますので、継続更新が出来る順に始めるのが良いです。もし継続できないようでしたら、アカウント削除をしてください。気付かないところで宿の評判を落とす原因となりえます。

Q: ブログ等の更新が滞りがちです。どうすれば良いでしょうか?

かんたんです。話題のカテゴリーを作りましょう。例えば、【今日の天気】、【今日の若女将】、【今日の調理長】、【今日の景色】など【今日シリーズ】だけでも、毎日3、4投稿できるはずです。他には【今月のイベント】、【おススメ宿泊プラン】、【宿の裏側】、【アンケートに対する宿の対応】などでも無限に話題は広がります。観光地は県庁所在地から離れていることが多く、【今日の天気】はお客様大満足のブログネタになります。

Q: おススメの過ごし方はどう勧めれば良いですか?

お宿様が思っている以上にお客様は旅行のベテランです。チェックインからアウトまでの流れを修学旅行のスケジュール化かの様に掲載しているHPを目にしますが、あまりお勧めできません。チェックインをしたら当然お風呂に入りに行きますし、夜6時にはお食事をとります。夜は寝ますし、朝は朝食をとります。プロであるお宿が『極めて一般的な過ごし方』をお勧めするのはお宿の力量を見透かされます。『一般的な過ごし方』はあえて忘れて、貴館でしか体験できない過ごし方を提案しましょう。例えば、『朝5時に起きてお宿前の海岸を歩くとウミガメと遭遇するかもしれない』という、ワクワクするような裏話が聞けるとお客様は充実した時間を過ごすことができるでしょう。


【運営】

Q: お客様アンケートは必要ですか?

はい、必要です。アンケートは宿の商品開発における宝の宝庫です。お客様の希望・欲求を解決することで、解決方法が商品になるケースが多々あります。

Q: お客様アンケートを作る上で、気を付ける点を教えてください。

アンケートの質問内容も大切ですが、アンケートを制作した後お悩みになるのが回収率です。アンケートをお願いしても記入してくれなくて、止めてしまうケースを良く目にします。やはりアンケートデータは多ければ多いほど分析の質が上がります。アンケートに特典を付けるのは良く行われていますが、それでも回収率はなかなか上がりません。回収率を上げるには、アンケートをゲームにしてしまうのが一番です。

アンケートを3種類用意します。

アンケートAは質問が5問だけで特典もクオカード1000円だけです。毎月抽選。

アンケートBは質問が15問で、特典は自館のペア宿泊券だったり、遠方旅館のペア宿泊券(3万円相当)。毎月抽選。

アンケートCは質問が50問で、電動自転車、ノートPC、プロジェクターセットなど男性女性用各1品(10万円相当)。年2回抽選。

これだけではゲーム性はないので、ここからが重要です。このアンケート用紙をチェックアウトの日の朝にロビーに設置された大中小の穴が開いた壁に向かって紙飛行機で飛ばして穴に入ったら、問答無用で現金2000円プレゼント!アンケートAは穴小、アンケートBは穴中、アンケートCは穴大です。ゲーム性もあってイベントにもなってしまうアンケート。アンケートは貰う物という概念は捨てましょう。アンケートは買っても良い位価値が高いものです。お客様もアンケートでストレスを出しきって、クレームも解消されます。一石二鳥のアンケート術でした。

Q: 食材原価はどのくらいが良いですか?

一般的には20~25%前後が適正と言われますが、お食事に対しての貴宿の思いによっても変わりますし、下げたからと言って必ずしも評価が下がるものでもありません。工夫次第です。どんな食材がウリか?によっても、原価は変わります。海の宿は一般的に高くなりがちですし、山の宿は安くなりがちです。

食材原価10%でも評価されるお宿は評価されますし、40%かけても評価されないお宿は評価されません。バランスが大事です。

Q: 献立はどの頻度で変更すればよいのか

毎シーズンや毎月変えるお宿様があるかと思います。まず献立を変更する意味を考えてみましょう。毎月来るお客様から『同じものを食べたくない』というお声があれば変えるべきですし、『毎回同じ食事を食べたい』というお声があれば変える必要はありません。

『献立の変更頻度はこうあるべき』という思い込みが一番危険です。年2回の献立変更でも流行っている宿はあります。

Q: 部屋の掃除を早く片付けるにはどうすれば良いか

分業方式にするか、セル清掃方式かは意見が分かれるところですが、建物の造りによっても変わります。何よりも『無駄』を省き、拭き掃き掃除の部分をいかに簡素化できるかがポイントです。分業方式にして、一部が遅れてしまうと、チェックインの遅れが大量に発生する場合がありますので、最近ではセル清掃方式が主流だと思います。

Q: どの程度お客様におもてなしをすればよいかわからないのだが

『お客様は神様です』という言葉がある通り、お客様の欲求を叶えることがお宿の繁栄につながります。但し、無尽蔵に言う事を聞いてばかりもいられません。ある程度で線引きは必要です。しかし、お客様の要望に応えないとクチコミ点数が下がったり、クレームが出て対応に時間が掛かってしまう等のご不安はあるかと思います。そのようなケースで良くあるのは、お宿側の方針がHPやパンフレット等で公表されていないケースです。お客様は何でも頼んだことはやってくれるという認識で、無理を承知に言っています。しっかりと出来る事、出来ない事はクチコミやHPの&Aなどを通して説明しましょう。

Q: 近隣の観光地が人気で客を奪われています。どうすればよいでしょうか?

観光地が人気になると、瞬く間に観光ガイドなどが創刊され人気に勢いがついてきます。そうなると周辺の観光地は立ち寄らない通り道になったりします。そういうケースは全国で多々見られます。しかしどうでしょう、考え方を変えてみると『人気の観光地がお客様を近くまで集めてくれている』とも言えますね。観光は遠くのお客様を近くに呼ぶまでが一番難しいものです、近くにきてしまえばこっちのものと思って、人気観光地との連携を図ってみるのも良いかもしれません。例えば、1日のコースで半日を人気観光地、半日を自分達の観光地とすることで、来訪者数は倍増するでしょう。

Q: クリスマスのイベントを考えています。何か良い案はありませんか?

イベントと言っても、『集客イベント』なのか来館客向けの『賑やかしイベント』なのかにもよって変わってきます。集客イベントであれば無数にあるクリスマスイベントとは異を唱えなければ、差別化は図れません。『クリスマスシャンペン無料奉仕イベント』などを良く見ますが、残念ながらその程度ではイベントのピークシーズンの中誰も振り向いてはくれません。例えばこんなものはいかがでしょうか。クリスマス一色に飾られた街中とは一線を画して、仏教のイケメンお坊さんを3名ほど集めて、説法を頂きます。クリスマスで賑わっている中でも、その賑わいを嫌って街中を離れたいお客様は必ずいらっしゃいます。それを全く逆の仏教路線で受け皿となるのです。どうでしょう?いけそうな気がしませんか?クリスマス時期の御坊様はまだ時間がありますので、早めに予約をしましょう。

Q: 早期到着のお客様が多く、チェックインの時間を早めるか悩みます。どうすれば良いでしょう

旅行行程の変化でお客様が早期到着されるケースがよく目につきます。しかし、館内清掃等があるため、多くのお宿がチェックインを午後3時に設定しています。例えば、それを午後2時したところで、早期到着のお客様は午後1時に到着するでしょう。終わりのないサービスの提供になってしまいますので、HP等でお車やお荷物のお預かりをしている事や館内ラウンジであればお休み頂ける事をはっきりと告知しましょう。

Q: 大浴場のソープ類をブランド物にする傾向がありますが必要ですか?

最近ではTSUBAKIなどのブランドソープを使う大浴場を増えています。これは業務用シャンプーの洗髪後のゴワゴワ感を嫌がるお客様が居て、そのお客様の要望に応えて設置しています。これを集客対策と考えるとコストに見合わない結果があるかもしれませんので、ご注意ください。最近では、ポンプ1本2000円もするシャンプーを無料貸し出しする宿なども出てきています。きりがない世界ですが、誰もが体験するサービスですので、効果が表れやすいとも言えます。

Q: 外国人対応で大切な点を教えてください。

外国人対応で一番大切なのは、お客様の母国語で交流することが一番大切です。外国人の多くは日本文化に触れようとは思っても、言葉が通じない不自由さを感じたいとは思っていません。日本にお越しになる外国人の多数派で言うと英語、中国語が基本言語となります。但し、流暢に話せる必要はありません。日本人のサービスと言うだけでも、外国人のお客様は『思いやりがあって高品質』と思っていますので、道の案内や食事の開始時刻など旅館滞在中の最低限の情報を英語で伝えられるだけでも安心できます。もし語学に不慣れな場合は必要な、英語文をお客様に見せながら読んでも親切さは伝わります。物怖じせず対応しましょう!

Q: 今度台湾からのお客様の予約を頂戴しました。食事で何か注意点はありますか?

台湾のお客様の食事での注意点は、食材です。主に牛肉可(なんでもOK)、牛肉不可、ベジタリアンという3種類は最低限用意しなくてはいけません。かと言ってそこまで気を使う必要はなく、どのお宿でもメイン料理の食材を変える程度で対応していますのでご安心ください。その他では、寿司や刺身、すき焼きなどが喜ばれるのと、何か一品だけでもよいので『熱い』料理が必要です。鍋もの等の汁物で『熱い』と最高です。あと、台湾は薄味食文化ですので、味の調整ができるようにしてあるとさらに喜ばれるでしょう。

Q: 旅館の基幹業務ソフト入替えを検討しています。どの会社の物がよいですか?

基幹業務ソフトはいくつかの会社から販売されています。『旅館 業務ソフト』と検索すると10数社出てきます。どの会社も特徴がそれぞれありますので、選ぶ上での注意点を3つお知らせします。

1、【導入例の中に自館と同じタイプはあるのか】

2、【既存会計ソフトなどとの連携は可能か】

3、【計数管理が充実しているか】

4、【クラウド方式か】

1‘ 意外と同じように見えて旅館の内部の仕組みは様々です。扱っている客筋によっても仕組みは変わりますので、似た旅館を中心に情報提供を求めましょう。

2‘ 『勘定奉行』や『弥生会計』などの会計ソフトを利用している場合、基幹業務ソフトからデータを出す際に相性の問題があります。十分に対応されていないとデータの一部が引き込まれないケースもありますので注意が必要です。

3‘ 基幹業務ソフトの最も重要な機能が『計数管理』です。イールドマネージメントや内部資料作成時間を圧倒的に短縮できますので、使い勝手の良い機能か検討しましょう。

4‘ もうクラウドが当たり前の時代ですし、リスクヘッジの点から考えてもクラウドは優れています。

Q: 予約サイトコントローラー導入を検討しています。どの会社のソフトがよいですか?

代表的なものですと、『手間いらず』や『らく通』、『TLリンカーン』、『ねっぱん』などがあります。どれも残室更新速度などに違いはありますが、基本機能は同じです。費用や対応予約サイトの数、残室・料金の一括コントロールのし易さなどで比較すると良いでしょう。(どれも非常によくできています)

当社のおすすめは、手間、リン、らく、ねっの順です。

Q: マルチタスクを導入したいのだが、何から手を付ければ良いですか?

業務のシンプル化から始めましょう。

マルチタスクはコンピューター用語で使われていた言葉です。最近では、星のやグループの星野社長様が業務改善において口にするのを、テレビでご覧になった方も多いのではないかと思います。1人3役、4役は製造業でもセル生産方式と呼ばれ、人件費削減、多品種少量生産への対応などに使われています。マルチタスクを導入するのであれば、デメリットも事前検討しなければいけません。強制的なマルチタスク化では、『古参社員の退職、新人社員の継続就労率の低下、サービスの悪化』など旅館に大きなダメージを与える危険性もあります。その上で行う場合は、業務をシンプル化しましょう。どんなに優れた人でも出来る業務量は無限ではありません。業務を極力シンプルにして、社員の皆さんにかかるストレスを以下に軽減できるかがマルチタスク化のポイントです。

Q: 最近、おしゃれなイタリアンレストランの様な制服の旅館を目にします。導入すべきでしょうか?

導入前に以下をお読みください。

一昔前は同一色のきものを着る仲居さんが定番でしたが、最近では作務衣をはじめ、おしゃれな制服を目にしますね。制服を選ぶ上での注意点は、

1、旅館のカラーに合っているかどうか?

2、オペレーション上、不具合が出ないか?

3、更新頻度はどのくらいか?

おしゃれな制服も良いですが、何か忘れていませんか?どんなに素晴らしい制服でも襟が反っていたり、シワシワではお客様に失礼にあたります。清潔に保たれるクリーニング頻度を上げるだけでも、お客様の反応は変わってきます。

Q: 一人旅のお客様対応で気を利かせなければいけない事は何ですか?

 多くの何を目的にお越しになっているか考えてみましょう。一人旅のお客様は『一人の空間を楽しめる』お客様ですので、その配慮を忘れてはいけません。例えば、隣室を子供連れの家族のお部屋割りにしたり、食事処で他のお客様からの目線が多い場所など一人旅を満喫する演出は必要です。

Q: お客様のクレームに慣れる方法はありますか?

ありません。クレームに慣れた時点で廃業した方が良いでしょう。お客様からのクレームは、大切な改善アドバイスです。そのアドバイスを放っておいては、さらに被害を受けるお客様を増やしてしまいます。クレームを言って頂けるお客様は少数派で、不満があっても『もう二度とこの店に来なければいいや』と思うお客様が多数派です。『お客様からの声は最高のアドバイス』として改善に繋げましょう。

Q: お客様のクレーム対応は支配人が行えば良いですか?

間違えは誰にでもあるものです。間違えるからこそ改善があるのです。まず、それをお忘れないようにしましょう。クレームが有った場合は全身全霊でお詫びしなければいけませんが、最終的にはお客様の納得を得ることでクレームは解決します。クレームが出た時点ではお客様も熱くなっていますので、お客様自身の冷静になって頂くためにも一度クールダウンのタイミングが必要です。そこに現場責任者の支配人が出ては事が終わらなくなります。まずは組織の中の支配人の2段階下の役職者などが対応し、お客様の要望レベルに合わせて担当者を変更し対応していきましょう。

Q: 当日キャンセルが発生しました。キャンセル料は頂くべきでしょうか?

当社の考えは、『頂かない』です。ケースバイケースですが、基本は頂かない方が良いと思います。この答えには賛否両論があるかと思いますが、当社の考えは以下の通りです。

ダブルブッキングに当日気が付いてキャンセルするなどの、お客様の一方的な間違いによりキャンセルになる場合は頂くべきと考えます。しかしほとんどのキャンセルは『行きたいのにいけない』キャンセルですので、次回の訪問やその後のリピーター化の糸口になります。当社調べでは、キャンセル料を頂戴して再来訪する当日キャンセルのお客様は2、3割で、多くのお客様は宿へのイメージを悪くします。

しかし、『キャンセル料を取らないとお客様がまた同じことをするのではないか?』、『キャンセル料というルールがあって、無いようなものになってしまう』とお考えの方は、こうお客様におっしゃって下さい。

『キャンセル料は今回結構ですから、次回お越しの時はビール1本多めに飲んで言ってくださいね。(笑)』

このフレーズでの次回来訪の確率は70%以上となった宿もあります。ぜひ使ってみてください。

Q: 仲居のお部屋案内は必要ですか

もうすでに仲居さんは死語のようになっていますね。ホテルであればベルスタッフとなりますが、もうお部屋への案内をする宿は国内では少なくなりました。人材の枯渇という理由がありますが、それ以上にそのサービスを欲していないというのが、本当の答えだと思います。多くの場合において、お部屋への案内は廃止しても問題(支障)がないと感じています。そのスタッフを別のサービスに回して、新たなる集客を図りましょう。

Q: マタニティ(妊婦)のお客様の対応が分かりません。どうすれば良いですか?

マタニティのお客様は妊娠経過によって体調が変わってきます。万が一も考えて対応しなければいけませんので、ご予約を頂戴した時点で掛かり付け医に相談の上の御来館をお願いしましょう。間違っても宿側の判断でお客様の来訪を決めてはいけません。また温泉の禁忌で妊婦のお客様が含まれることがありますが、多くが長湯の禁止を意味していることが多いです。普段自由が利かない妊婦の方は開放感もあって長湯しがちですので、お部屋にスポーツドリンクを置いたりすると、ポイントアップにつながるでしょう。

Q: 部屋の茶菓子のボリュームはどのくらいが良いでしょうか?

茶菓子のボリュームは一人2個以上であれば良いでしょう。一人1個ですと、砂糖菓子か塩菓子のどちらかになってしまい、好き嫌いが出てしまいます。甘い・しょっぱいの2種類あると更に良いです。

Q: 感染病対策は何をすればよいですか?

手洗いうがいに勝る予防はありません。お客様に予防を訴えることは難しいので、旅館側で対応しなければいけません。手洗いうがいの徹底と、感染病拡大時期の従業員健康調査を毎日行う事が必須です。宿の玄関にアルコール設置はもう当たり前ですね。

Q: お金を掛けずに部屋を少しおしゃれにする方法はありますか?

例えば、基本装備品のバスタオルやハンドタオルを使って演出する方法があります。部屋に入って洋タンスを開けると置いてある平らに重ねられたバスタオルとハンドタオルは定番の風景ですね。この定番の白黒風景に色を付けます。まずバスタオルを高さ30位の筒の様になるように丸めます。そのタオルを米俵の様に下に2本、上に1本のせます。ハンドタオルも同様にします。これで完成です。注意点は、俵が綺麗に丸まっていないと逆効果になってしまいますので、綺麗に丸めましょう。

Q: 食事の配膳で何度言っても置き場所を間違える社員が居ます。どうすれば直せますか?

言って分からなければ、見せて分からせてあげましょう。宿泊プランによって食事の内容が変わる宿が増えており、多くの宿で見られる現象です。間違えてしまう人は分からなければ聞けばよいのですが、聞くことを躊躇してしまって間違えてしまうようです。そこで、配膳された完成写真を2L版サイズにラミネートして全種類の完成写真を持ち歩かせ、『分からなくなったら見る』を徹底させましょう。必ず改善します。または発達障害というケースも考えられるかもしれません。その場合は配置変更も含めて検討しましょう。何かしら特技があるかもしれません。


【施設・管理】

Q: 館内を全面禁煙化しても大丈夫ですか?

地域性はありますが、館内全面禁煙化はもうすでに社会的に許されています。しかし、リピーターのお客様の反響も気になるようであれば、段階的に禁煙にしていき最終的に共有部の禁煙化をすると良いと思います。

Q: 貸切家族風呂は必要ですか?

お客様の希望として貸切家族風呂のニーズはあります。しかし、必ずしも必要かと言われると投資回収を考えると、一度踏みとどまるのも良いのかもしれません。現在ある施設で代用できるかもしれません。例えば、大浴場を一部時間貸切状態にするという手もあろうかと思います。

Q: エステって必要ですか?

旅館ホテルで行われているエステは、元は海外のリゾートで『スパ』としてブームになったものが日本に来たものです。例えば、Hyatt Regency Waikiki Beach の様に宿名の後に『Resort and Spa』を付けて『エステがあるホテル』とアピールしているのが良く見られます。一時期の高額エステは鳴りを潜め、1万円前後のエステが一般的になったことから気軽に受ける女性も増えています。しかし、実際テナントとして入れたとしても、月額100万円の売上に届くか届かないかの売上で数か月で退店するケースが多く見られます。まずは、お宿様の狙うターゲットのお客様に必要かどうか考えられると良いと思います。無いよりは有った方が良い程度であれば、導入は控えたほうが良いかもしれません。

Q: 露天風呂付き客室は必要ですか?

現在のマーケットを考えると、有ったからと言ってお客様が増えるツールではなくなりました。有ることで返ってメンテナンス費が嵩むなどの弊害も見られます。露天風呂付き客室をお客様が本当に欲しているのかどうかを考えるのが先決と思います。

Q: パブリックの露天風呂がないがどうしたら良いか

露天風呂がお客様のお宿評価につながっているのは否定できません。しかし、露天風呂が無いから集客が出来ないのかと言われれば、それは『NO』です。温泉が無いことによる集客の難しさは、現実的にはあります。しかし、温泉があるのであれば、露天風呂は必須ではありません。スーパー銭湯でも露天風呂はあります。もう露天風呂は珍しいものではなくなりました。お客様から『珍しい』と思われるような商品を別に開発しましょう!

Q: 部屋の壁紙のリニューアルを予定しています。何色がよいですか?

あまり気にして生活している人は多くないかもしれませんが、色が人に与える影響は大きいのです。例えば、赤は『興奮や刺激』を与え、緑は『落ち着きと安らぎ』、青は『神経を和らげる』色と言われています。単に気に入っている色だからと言って選ぶのは危険です。可能であれば色の専門家を交えて内装業者と打ち合わせされると良いと思います。それだけ色は重要です。テクニックで言うと、4面ある壁の中で、一面だけ別種類のするとイメージが変わって奥行きのある部屋写真が撮れますよ。

Q: オープンキッチンに改装する予定ですが、改装しても良いでしょうか?

オープンキッチンはライブ感や作り手の顔が見える演出として人気です。宴会場と調理場が面していれば比較的簡単な工事で改装できますので、リスクも低めでトライできます。但し、事前にオープンキッチンにする目的等を明確化することをお勧めします。オープンキッチンにしたは良いが、単に『調理場が丸見えになった』だけでは、お客様の満足感は得られません。『見せる演出』をするのであれば、それなりの練習も必要ですし、『見られるリスク』も考えなければいけません。オープンにすれば良いではなく、オープンキッチンで何をするか?を基本に考えて設計を考えると良いでしょう。

Q: 客室のリニューアルを考えています。露天風呂付客室で80%稼働目指せますか?

はい、目指せます。露天風呂付き客室を導入している宿は、全国で既に約2500軒あります。各県約50軒の宿が持っている計算です。現状としては需給バランスが崩れていますので、露天風呂付客室で80%稼働をすることは客観的に見ると容易なことではないと思われます。稼働率だけを見るのであれば戦略的料金を打ち出すことで解決しますが、リニューアルの目的が果たせなくなってしまいます。そこで、考えなければいけないのが『露天風呂付客室を売らない』ことです。露天風呂付き客室と相性のよい商品を前面に出して、その付帯として露天風呂付客室を販売してみてはいかがでしょうか。

Q: ナイトクラブや会議室の利用が全く無く、代用を考えています。何か良い案はありますか?

はい、あります。ナイトクラブの装備を考えると50平米までであれば、カプセルホテルにすると面白いかもしれません。カプセルブースを10個(2階建て5列)設置して、カプセル客用のパブリックスペースを作ります。風呂トイレはカプセルブース様に小さく用意しましょう。新しい時代にマッチした、新たな客層を獲得できると思います。

Q: 施設リニューアルで集客に効く箇所はどこですか?

敢えて言うのであれば、玄関ファサードです。宿のシンボル的な意味を持つ玄関を変えることで、販売上の宿のイメージは大きく変わります。大規模な改修ではなく、表面的な施工で大きく姿を変えられるのもメリットです。

Q: ロビーラウンジのイメージを変えるにはどのくらいの費用が適正ですか?

容積規模によりますが、全改修をお考えであれば今一度お考え直し下さい。インターネット販売が中心の時代に、大きなロビーラウンジの全体的雰囲気をお客様にお伝えするのは容易ではありません。もう少し小さくお考えになればよいと思います。例えば、ロビーラウンジの平台箇所すべてにお花を添えるだけでも全く違うお宿と見違えるほど変わります。お金を掛ければ何でもできる時代は終わりました。これからは、投資を『頭』に使う時代になりました。

Q: 大庭園を保有しています。メンテナンス費がかさむのでどうすればよいでしょうか?

例えば、こんな案はどうでしょう?盆栽や庭いじりが好きな方は多いものです。そんな愛好家の方向けの宿泊プランとして、庭園の手入れ1本あたり1名様宿泊料無料というプランはいかがでしょう?コト需要を獲得できるかもしれませんし、庭園はあるだけで大コストがかかります。固定コストの圧縮は、安定経営に必須です。

もう一つ案を考えるならば、ライトアップという方法もあります。リアルなたいまつを灯すだけでも、幻想的になるかもしれません。

Q: 売店の営業時間はどうすれば良いでしょうか?

2週間ほどトライアルで、朝6時~夜12時まで18時間営業をしてみたらいかがでしょうか?その間の来店客数の推移などをデータ採りし、適正時間を見つけます。

Q: 部屋に用意する備品は何が必要か

最近、格安旅館などでコスト削減目的で備品が極力少なくなっているのを目にします。清掃や備品維持を考えると効率的で良いと思いますが、素の部屋レベルを見られてしまうので誤魔化しが効かなくなるとも言えます。備品を少なくする傾向は今後も続くと思いますが、シャンプーでもタオルでも何でもいいのですがワンポイントでもアイポイント(視線が集中する点)を作ることをお勧めします。そうすることによってお部屋の瑕疵が目立たなくなります。

Q: 部屋の雰囲気を変えるのに早くて、安くて、集客に効果的な手法はありますか?

 照明を変えてみましょう。旅館部屋照明の多くがトップライトですので、それを全消灯します。その状態から1m位の和風置き照明を角に対になるように設置します。これで完成です。設置時間20分、予算約1万円、ネット予約バリバリです。と、嘘のような話ですが、本当の話です。予算が本当に全くない宿で行って、その部屋タイプの稼働率を月間10%から60%に引き上げたネット販売専用手法です。ぜひお試しあれ!

Q: 泉質上、肌がつるつる滑るようになります。転倒が心配ですが、どうすれば良いですか?

余裕があれば、浴場設置可能の畳を敷いても良いかもしれません。人工芝を敷いているお宿を見受けますが、決して雰囲気が良いものではありません。お客様は普段入っているスーパー銭湯よりも高いお金を払ってお泊りに来ています。最低でもスーパー銭湯以上の雰囲気を提供しましょう。

Q: お部屋にテレビが無い旅館もあるそうですが、そのメリットは?

間違えていけないのは、テレビが無くして何かしらの効果が出たのではなく、宿のコンセプトからお部屋にテレビは不要だったケースがほとんどだという事です。

テレビは時間を過ごすある種の娯楽でもありますが、非日常性空間を日常空間にしてしまう装置でもあります。テレビがない事で普段見えないものも見えてきますので、より旅館の提供したいサービスに目を向けてくれるかもしれません。それに最近では、テレビを見ないでSNSを見るという習慣を持っているお客様が増えています。テレビを購入、維持管理するコストが減る時代になった事は喜ぶべきことだと思います。

Q: 建物が古く部屋の遮音性が低いです。どうすればよいですか?

投資型、非投資型で考えましょう。遮音性の低下は、お客様の大切なプライベートの喪失につながりますのですぐに対応したいですね。稼働率が低い場合は、隣り合った部屋の利用は避けて、部屋割りを行いましょう。また部屋の改装を考える予算が場合は、部屋の壁を取り払って2室を大きな1室に改装するのも効果的です。遮音材を壁に張ったとしても、天井裏を抜けて入ってくる音もありますので十分ではありませんし、部屋の狭小に繋がります。投資(将来利益)に見合う改装を心掛けましょう。

Q: ビジネス客向けの設備対応はどうすれば良いですか?

高速無線インターネットが一番喜ばれます。まずV4をV6にすることと、ビジネス客用の専用パブリックスペースを作るのも良いと思います。例えば、無料マッサージ機が設置されていたり、一目でわかる飲み屋情報板などビジネス客の痒いところに手が届くスペースを作りましょう。

Q: ビジネス客を欲しくても設備投資ができません。どうすれば良いですか?

最低でもロビーラウンジなどテーブルとイスがある場所で、無線LAN環境は整えましょう。ブロードバンド回線があれば、約1万円の無線LANルータを購入すれば1時間も経たずにビジネスオフィスが完成です。しかしそれだけでは設備が整った宿に負けてしまいます。勝つにはどうするか?同じ舞台で戦わないことです!設備から目を離してビジネスのお客様が希望しても他の宿が行っていないサービスを徹底的に充実させます。

例えば、ビジネスのお客様の宿泊となると着替えやアメニティなどがかさんでしまい、普段のビジネスバッグが使えずに大きなバックを用意して不便を感じています。その希望を汲み取り、100円ワイシャツクリーニング、100円スーツアイロンがけ、無料靴下&下着洗濯、着替え無料用意、ビジネス書ライブラリー設置、ワイシャツ・下着類のお取り置きサービスなど、やろうとしても出来ない事をとことん提供しましょう。ハードで勝てなくても、ソフトなら勝てます。

Q: エレベーター内にイスを設置すべきですか?

 ぜひ置きましょう。年配者の方はエレベーターが上がり降りする時の重力ですら負担を感じます。大きさはエレベーターで場所を取り過ぎてはいけませんが、座面が低い椅子の場合は手すりが必要になります。高さ50cm超の少し高い座面の椅子と壁に寄り掛かるような形ですと、手すりが不要になります。

Q: 年配のお客様向けに施設を改修するには何が良いですか?

 まず、ご自身で高齢者の方の生活を体験することが必要です。長寿社会文化協会からうらしま太郎(高齢者疑似体験プログラム)有料レンタルを行っています。これはいかに高齢者の方が体全体に負担を感じながら生活をしているかを体験できるキットです。数万円の費用が掛かってしまいますが、インストラクターの説明などが受けられますのでぜひご体験してください。それから検討しても遅くありません。そのくらい高齢者の実情を若年者は分かっていません。

Q: 古いタイプの旅館を経営しています。部屋の床の間には何を置けば良いでしょうか?

 不信に悩む旅館の共通点と言っても良いのが、床の間に物を置き過ぎる点です。人形や焼き物、掛け軸、お花、香炉、館内案内、照明、壺、木箱等置けそうなものは何でもあります。しかし、床の間は和室の雰囲気を決める神聖な場所です。床の間に設置する時の合言葉『長短』を覚えましょう!簡単です。壁面に掛けるものが長ければ、下に置くものは短く、掛けるものが短ければ、置くものは長い。

例えば、掛け軸(長)+香炉(短)、正方形の額(短)+長花瓶に花(長)です。簡単ですね!

Q: 夏季以外のプールの利用方法はありますか?

 はい、あります。海外のホテルなどでもクールシーズンのプール利用方法は開発されています。例えば、プールの形状を利用してプールバーにする方法があります。プールの中央に非可燃性のダミー暖炉を置いてその周りをソファーで囲むと、超非日常空間が完成します。屋外プールは通常日常利用がメインになりますので、それを夜間利用にするとプール感が消えてオシャレな雰囲気に変身します。プールは水がなければと発想してしまいますが、水が無い器型構造物と考えると良いでしょう。

Q: 地域イベントに合わせて宿泊プランを作りたいのですが、どのようなプランが良いですか?

 地域イベントにも因りますが、既存プランの名前を変えるだけや、料金を少し安くするだけではお客様はなかなか振り向いてくれない傾向にあります。地域イベントを目的にお越しになるお客様は、目的意識がしっかりされていますので、『値引きプラン』を目的としていません。しっかりとお客様の目的を果たす事が出来れば、売れるプランになるでしょう。例えば、地域イベントと連携させる方法を取るのであれば、他の旅館と共同で眺望一番の観覧席を確保し、観覧席を含む宿泊プランにしたり、武者行列の武者が夕食時に食事処に来てお客様と一緒に無料記念写真を撮ったりするのも良いでしょう。

地域イベントの育成は徐々にしか進みません。最低でも5年位のスパンで集客を伸ばしていきましょう。

Q: 貴賓室(VIPルーム)が稼働しないのですが、何か利用法はありますか?

はい、あります。全国の大型旅館の多くに貴賓室がありますが、稼働率の低さが問題になっています。バブル期は料金が高い部屋から売れていったという今では考えられない時代がありまたが、貴賓室をそのままの用途で販売しても経済縮小時代の日本では難しいでしょう。

稼働率の低さが問題であれば、旅館のバリューアップに利用してみるのはいかがでしょうか?貴賓室は最上階の一番眺めが良くて、一番広い部屋ですからキャパシティも大きいです。夜6時~7時の夕暮れからライトアップが楽しめるタイミングは最高だと思いますし、朝方の7時~9時はあまり日常では体験できない爽やかさがあると思います。そこで思い切って、貴賓室を食事処にしてみてはいかがでしょうか?『眺め最高!』、『雰囲気最高!』、『非日常性最高!』の施設を新たに作る費用を考えれば、利用しない手はありません。部屋利用に戻すのも消臭するだけで済みます。但し、貴賓室が旅館の『格』を維持させている場合がありますのでよく熟慮の上実施しましょう。

Q: 旅館では従業員の待機時間が長くなりますが、何か対処法はありますか?

はい、あります。待機時間の発生理由は、『来るかもしれないお客様』です。『売店に来るかもしれない』、『コーヒーラウンジに来るかもしれない』ために、居なくてはいけないを解消すればよいのです。その為にはオペレーションの改善だけでは解消しません。お客様の動きを管理しましょう。お客様の動きに合わせて従業員配置ができれば待機時間を減少させられます。

一つの方法として、館内イベントを行ってお客様を動かす方法があります。夕食、朝食の時間は管理できますが、それ以外は自由時間となってしまいます。その時間にイベント行ってお客様の集中を作ります。夕食後の売店前での抽選会や、朝食後の売店試食会などは効果的です。

【人材・組織】

Q: 従業員との意思疎通がうまくいかない

うまくいかない原因を探りましょう。原因を間違えると返って逆効果になるケースもあります。当社で代わりに従業員の皆さんと談話会を開かせて頂いて、溜まっている言い分を吐き出す機会を持ったケースもあります。

一つ言えるのは、経営者様が従業員の皆さんをいかに思っているかを伝える事が一番効果があります。

Q: 従業員のモチベーションが持続しない

どの職場でも起こる事象です。モチベーションが無くなるタイミングは『何か大きな目標を成し遂げたり、成し遂げられなかった場合』に良く起こります。過大な目標設定をする場合は、その前後をよく注意しましょう。目標を見失うと人は迷い苦しみます。当社が推奨する『スモールマネージメント』は小さな目標に向けて小さく成長させる手法です。

Q: 従業員のために研修はどんなものを行えばよいのか

考え方によっては全てが研修になります。研修を行えばよいではなく、『何のための研修か』を明確にすることが必要です。

Q: 社員旅行は必要か

社員旅行で他の旅館を見に行くと言うのも良案かもしれません。しかしそのコストはバカになりませんよね。どうせ行くのであれば、自宿にお越しになる社員旅行のグループ客様がいかに旅行先を検討しているか、何を目的に旅行をするのか等を考える機会に出来ると良いと思います。

Q: 外国人従業員を長く雇用する方法はありますか

はい。最近では就労ビザを宿側で用意して、正規雇用するケースが増えています。しかし、6か月ほどで「実家の母が調子悪くて、国に帰ります。」と言っていなくなったと思ったら、都会のビジネスホテルで働いているなんてケースをよく耳にします。

まず、外国人の国籍がポイントです。台湾や中国から来た人ですと、都会の職場で働くためのビザ取得のために一度地方で働いてというパターンをよく聞きます。例えば、ベトナムやネパール、インドネシアの地方から来た方は、出稼ぎ目的が多いようです。

即戦力となると台湾、中国からの従業員となりますが、早く辞めます。では、長期雇用のために何をするのか?それは日本人雇用で忘れられてしまった、密着感ある雇用です。今の日本では社員旅行はいきませんし、プライベートについて聞くのはご法度ですし、雇用時間外に食事でも誘ってしまったら残業代の支払いを求められたりと、ドライな関係を強いられます。しかし外国人としては、言葉が通じませんし、知り合いがいなくとても不安なのです。そこをまず埋めてあげましょう。そして、教育です。基本的にはみんな日本の事が好きだから日本に来ています。日本の伝統文化を身に付けさせてあげたり、趣味を持たせたりあげて、会社と繋がる事のほかに地域と繋げたり、地域の人と繋げたりしましょう。一本の矢よりも、五本、十本の矢でつながりましょう。

Q: 良く働いてくれる人を採用するにはどうすればよいですか?

『良く働いてくれる人』は、もちろんその人の特長として『良く働く』人もいると思います。しかし多くの『良く働いてくれる人』は、環境に影響されて結果的に『良く働く』人になっています。『良く働いてもらえる環境』を整える事が先決です。これまで働きずらいと言われてきたパチンコ店や工場などの控室などを見てみると参考になると思います。驚くほど従業員を大切にしているか分かると思いますよ。

Q: 旅館が小さくても組織図って必要ですか?

はい絶対に必要です。組織図は旅館の業務見える化の第一歩です。必ず作りましょう。

Q: 役職を横文字のマネージャー等にしようと思いますが、どう思いますか?

横文字にしても、縦文字(漢字)にしても変わりません。変わるのは変えようと提起した方の気分だけだと思ってください。もちろん肩書きが人の心を躍動させることはありますが、それ以上に『やりがい』や『自分への見返り(褒賞)』を期待します。

Q: もっと働いてもらいたくても、縁故採用が多く強く言えません。どうすればよいでしょうか?

地方にある旅館では立地的問題で採用が難しく、縁故採用は良くあります。まずは旅館の状況を説明しましょう。経済的にゆとりがあるのであれば、そう急かして働いてもらう必要はないはずです。困窮した状況を説明して、一生懸命に働くとどうなるか、一生懸命に働かないとどうなるかの両方も粘り強く説明しましょう。そこからは経営者様の判断です。大所帯であれば1名、2名の失敗をカバーすることは可能ですが、小所帯では1名の失敗が致命傷になる場合があります。穴が開いている船でのんびりと沈没を待つか、穴を塞いで沈没を防ぐかは全体を見て判断しましょう。

Q: 新入社員に最初に教えるべきことは何ですか?

宿を客観視することです。一度旅館に入って業務を覚えたりすると、旅館の一員になってしまいもう二度と客観視できるタイミングは訪れません。社会うんぬん、仕事うんぬんを教える前にお客様として1泊2日の旅行で自館に宿泊してもらいましょう。そしてその印象を宿泊記として残しましょう。1年、2年と過ぎていくうちに客観視できずに自分よがりな見方になってしまいます。その時に宿泊記を手に取ることで、自分のポジションの正常化が図れます。

Q: 社員の高齢化はどうやって防げばよいでしょうか?

高齢化が一概に悪いとは思いません。返って経験がものを言うサービス業としては失ってはいけない人材だと思います。但し、新しい試みに対しての動きは若者に比べると一歩引いてしまうのはどの会社でも見られると思います。国家レベルでも同様ですが、高齢者をトップに緩やかに若年層に向けて傾斜するピラミッド型が組織として一番効果を発揮すると言われています。

Q: リーダー(課長クラス)が育ちません。どうすればよいでしょうか?

まずは会社としてリーダーに何を求めているか明確にしましょう。言われることを行う受動的なリーダーか、自ら業務を作っていく能動的リーダーか決まっていますか?一概にリーダー(中間管理職)と言っても役割は様々です。受動的なリーダーであれば、業務を細分化して教え込む1年間で支配人補佐クラスは育ちます。能動的なリーダーを育てるには、経営者様の意識改革が必要です。