過去のコンサルティング実績:売上増加分累計 330億6千万円(2025年8月現在)

【旅館再生】値下げは、最も簡単で、最も危険な道です。

経営ヒント

「売上を上げるために値下げをする」―その判断、本当に正しいですか?
安易な値下げが招く“見えない赤字”と、その先に待つ経営破綻への道。


最近、「え?こんなに安く出して大丈夫?」というような宿泊プランを見かけることが増えました。
例えば、露天風呂付きの客室が“素泊まりだから”と極端な価格で出されていたりします。

もちろん、理由は分かります。
インフレ、賃金の急上昇、金融機関への返済、スタッフへの給与、予約サイトへの手数料…。
毎月の資金繰りに追われる中で、「今日1円でも多く売り上げたい」という気持ちは痛いほど分かります。

ですが、あえて言わせてください。

値下げは、最も簡単で、最も確実な“倒産への道”です。


安売りをすると、どれだけ危険なのか?

具体例を出しましょう。

普段12,000円で販売している宿泊プランを、集客が落ちているからと8,000円で売ってしまったとします。

プラン単価 × 2名売上利益
通常価格12,000円 × 2名24,000円+2,400円(営業利益率10%)
値下げ後8,000円 × 2名16,000円−5,600円(損益分岐点10,800円の場合)

つまり、満室にしても利益が出ないどころか、売れば売るほど赤字になる構造になります。

「でも、稼働率が上がるから…」という安心感が一瞬あるかもしれません。
しかし現実には、心の安定と引き換えに、経営が不安定になっていくんです。

たとえ2名の値下げだったとしても、100名、1,000名となれば…宿の未来を確実に蝕んでいきます。


「値引きの原理」を知らずに安売りするな

もちろん、“見せ値”としての値下げ、つまり「集客のための価格戦略」として使う場合は効果的なケースもあります。
ですが、原理を理解せずに“とりあえず値下げ”をすると、最終的には宿だけが損をして終わります。


私の価値観を変えてくれた一冊

そんな私が、過去に救われた本があります。

📕『売りたいなら、値下げをするな! 日本一わかりやすい 価格決定戦略』
(井上和幸 著)

私自身、かつて「安くしなければ売れない…」という思い込みに囚われていた時期がありました。
この本を読んだことで、「安売りこそが愚行である」という真実と、「高く売るからこそ得られる“価値”」を学びました。

何より、価格戦略が“感覚”ではなく“数字”で考えられるようになったのは大きかったです。


安売りとの決別を本気で考えている方へ

この本は、単なる理論書ではありません。
現場で役立つ、実践的な考え方が詰まっています。

「もう安売りしたくない…」
「でもどうやって脱却すればいいか分からない…」

そんな方にこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
今後の価格戦略の軸になると思います。

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