想定外は経営判断を狂わす:新型コロナウィルスによる観光不況に備える(18)

㉘早期ワクチン開発から世界恐慌までを想定
ブログでこれまで、万が一に備えましょう、万が一に備えましょう、万が一に備えましょう、万が一に備えましょうと唱え続けてきています。
それは経営が絶好調の宿でも、絶不調の宿でもどこでも言い続けています。
なぜなら、私自身の経験から、二度とあんな経験をしたくないと思ったことが理由です。2011年3月に発生した東日本大震災の影響で実家の旅館は倒産しました。経営状態はよくありませんでしたが、前年度から団体客の取り込みに成功しV字回復の最中の出来事でした。地震から倒産まで1か月半でした。あっという間の出来事です。あっという間に293年続いた宿は終焉を迎えました。2年後、3年後、5年後の未来を着実に視界にとらえていた最中でした。
過去を振り返ると地震の前にいくつもの悪化の分岐点を辿っていたのですが、その分岐点一つ一つが「万が一の出来事」でした。
倒産数年前に起こった近隣主要道路の崩落と地域孤立、支援協議会での宿側圧倒的不利な再生計画、東日本大震災などなど、どれも想定外の万が一の出来事でした。
しかし、実際にそれは起きて、経営に打撃を与えました。
道路崩壊は全く想定していなかったので、別ルートでの宿泊者の往来ができるかどうかの情報提供が早期にできなく、結果NHKの全国放送で孤立化と大々的に放送されてしまい、その後1年半の間は団体客が激減しました。
支援協議会での不利な再生計画は想定していませんでした。第二会社方式で負債が半分以下になると想定していましたが、負債の減額はほぼなく、リスケのリスケで長期返済計画に変わりました。そもそも借入した方が悪いのですが、負債の減額かDDS(負債の劣後化)などが無ければ、返済は難しいと全員の認識でした。無理な計画が実行されて、営業面でも無理に無理が重なっていきました。
東日本大震災という、1000年に1回の大地震は想定外でした。
今の私なら想定内にしているでしょうが、その頃の私には想定外でした。
想定外なので、単純な課題解決に何倍も時間と労力をかけてしまい、思考が停止状態に陥りました。恐らくこれからコロナの不景気に立ち向かっていく皆さんは、同じ症状が出る時があると思います。本当に何をどうすればいいのか分からなくなるタイミングがあります。それは、想定していない事が理由です。
会社の状態が傾いた時に、正しい判断を取れるかどうかが、生き残りを決めます。そのためにも今回のコロナの影響を1から100まで想定しておきましょう。
レベル1 早期にワクチン開発で平時に戻る
レベル2 なんとか第二波、第三波を抑えて、新しい生活様式で持ちこたえる
レベル10 2020年度内にコロナ封じ込めに成功し、2021年からは平時に
レベル20 2021年春にコロナ封じ込め成功し、オリンピック開催へ
レベル30 2021後半まで抑え込みがずれ込み、全世界が不況に
レベル50 2022年中盤にワクチンが開発されるも、ワクチンが広がらず
レベル100 ウィルスが変異し、感染拡大止まらず世界恐慌
空想の世界過ぎて想定の意味を成さないと思うかもしれませんが、一応想定しておきましょう。レベル30位までは有り無しでいうと、当社では有りで想定しています。
もちろんレベル100も空想の夢空間で想定しています。景気の悪化で米国のとる手段は毎回戦争ですので、軍需産業が活気が出ますし、関連産業がある地域は全業種がにぎわいます。その地域で商売をしていれば、なんとか食つなぐことができると思うので・・・
という想定です。
変わったものしか生き残れない。
適者生存
という言葉があります。(ウィキペディア)
ある環境に最も適した生物が生存し得るという考え。
です。変化を続けましょう。
最後に、平家直孫の家系を持つ私 伴から切っても切れない平家物語の一節を。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。
【現代語訳】
祇園精舎の鐘の音は、「諸行無常」、つまりこの世のすべては絶えず変化していくものだという響きが含まれている。沙羅双樹の花の色は、どんなに勢い盛んな者も必ず衰えるという道理を示している。世に栄えて得意になっている者がいても、その栄華は長く続くものではなく、まるで覚めやすい春の夜の夢のようだ。勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまうような、風の前の塵と同じである。
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