民泊Airbnbと旅行比較サイトの連携が意味することとは? 2017年の「民泊」を国内外の動きから考えてみた 【コラム】

こんにちは。ベンチャーリパブリックの柴田です。

2017年がスタートしました。例年の如く年末にシンガポールのWIT – Web In Travel代表のSiew Hoonからメールが届き、“世界の旅行マーケットにおける2017年の3大予想を出して”と言われ出したのが、こちらです。

  1. メタサーチ、OTAの領域で更に世界規模での業界再編が進む。
  2. 世界中で既存のホテルが民泊によって苦しめられる例が顕在化し始める。
  3. 話題のAI・チャットボットは(2017年時点では未だ旅行業にとっての)主力プラットフォームにはならない。

まずはこの話からしていきましょう。

*関連記事>>オンライン旅行業界のキーパーソンが予測する2017年とは? VR柴田氏らが選んだトレンドTop3 ―WITより(パート2)

Airbnbとメタサーチの連携が意味することは?

1.は、ここ数年の流れからみても皆さんから“それは多分そうだよね”という声が聞こえてくるようなあまり驚き無い話だと思いますが、僕自身の注目はやっぱり2. です(3. のトピックはまた別の機会で取り上げるつもりです)。
82148_tnoozご存知の方もいらっしゃると思いますが、弊社は昨年12月に、Travel.jpとAirbnb社との事業提携を発表しました。実はこの提携、僕も海外のオンライントラベル業界ニュースメディアTnoozの記事を読んではじめて知ったのですが、Airbnbが同社APIを提供して他社と本格的な事業提携をした世界初のケースだったんです。

Airbnbは、これまで外部との事業提携にはとても慎重で、実際には当社より先に同社のAPIを使って提携を始めたのはアメリカのメタサーチHipmunkの1社のみでした。ちなみにHipmunkとAirbnbの創始者は何れもシリコンバレーの著名スタートアップアクセレーター組織Y Combinatorの卒業生であるという個人的な関係があったので、Airbnbの中ではこの提携だけが例外的に存在していたようです。

そんなことで、このニュースは海外からも含め沢山の注目をいただいたんですが、まずはそもそもこの提携が意味することは何なのでしょうか?

色々な意味があると思いますが、やはり僕は、“Airbnbおよび民泊分野にとって日本はとても重要な市場である”という大きなシグナルだと考えています。

いい機会なので、今回は日本および世界における民泊およびAirbnbの現状、今後についての雑感をランダムにまとめてみました。

「Airbnb」以外は検討しないケースも多数

まずは、現在の日本でのAirbnbの利用状況について。

これは、Airbnb社がメディアの取材に答えたりして少しずつ全体像が見えてきてはいますが、ここはあえて僕の身近で起きている実例をあげてみます。

これはズバリ、“アメリカなど海外の国からレジャー目的で来る僕の友人・知人のざっくり半分以上は明らかにAirbnbを利用して東京および日本の各地で宿泊している。”という事実です。(ミレニアル世代が多いのも特徴)

ここ数ヶ月の間に、何回か彼らに“なぜAirbnbで宿泊先を予約するの?”と聞いてみたところ、大抵は“(ホテルに比べて)安い。広い。ロケーションもいい”とのことでした。“ホテルが一杯だったから”という答えを聞くことも稀にありましたが、明らかに最初からホテルという選択肢を考えていないケースが多いのが事実。

家族連れやグループ旅行が民泊浸透のカギに

そして、家族連れの場合も民泊利用のケースがとても多くなってきていると感じます。ひとつの例として、半年前にアメリカ・インディアナ州に住む僕の友人から、彼ら家族4人と別の友人家族がこの冬に一緒に北海道でスキー旅行を計画しているということで旅程などの相談を受けました。その時も彼らは宿泊はあくまでAirbnbやVRBOなどの他のバケーションレンタルサイトでの予約を前提としていました。

この傾向は家族連れ、グループでの旅行が多い中国人の旅行者についても顕著だと思われます。中国版AirbnbといわれるTujia  が急成長しているのも大いに頷けるわけです。

僕個人としても、先日、民泊を実体験してきました。京都へ出張した際に町家を活用した民泊施設に宿泊しました。部屋は広く、ロケーションは祇園のほぼ中心部と良く、価格も相対的に割安で、バルコニーからは借景で隣の寺の庭がみえる、というなかなかいい体験でした。

その一方で現地での支払いができないため事前にPayPalでの決済が必要だったり、あらかじめ鍵の受け渡しのためのスケジュール調整をしなければならなかったのも事実です。

宿泊先に向かうタクシーの中で運転手さんからこんな話を聞かされました。“最近中国人のお客さんがとても増えているけど、殆どがグループで乗車してきて住所を出してきて、ここへ行ってくれ、と言われる。その住所は明らかにホテルでなくて一般の住居で、場所をみつけるのが大変なことが多くて結構苦労してるんですよ。”と。

こんな話を総合すると、日本では今年の1~10月でAirbnbを利用した訪日観光客が全体の1割前後はあったのではないか? との予測報道がありましたが、納得できるばかりかTujiaなどを含めるとインバウンドにおける民泊のマーケットシェアは実は10%どころではなく遥かに高かったのでは? と感じてしまうのです。

実際、昨年秋は日本のマーケットで需給が逼迫してあれだけ価格が高騰していた関西のホテルマーケットが一変して供給が増え、価格が頭打ちになる現象が発生したとも聞いたので、更に納得してしまいます。

「民泊」はトラベル・ツーリズムにとって本当に“脅威”か

話がちょっとそれますが、僕の今年の年明けはヨーロッパでスタートしました。スキー旅行を代表としたマウンテンツーリズムをテーマにしたカンファレンス“European Mountain Summit”に招かれスイスへ飛んだのですが、このカンファレンスで僕は“Top Travel Trends”という題のクロージングセッションに登壇させてもらいました。

その席で同席したPhocuswrightの主席アナリストDouglas Quinby氏に“いまの世界のトラベル・ツーリズム業界でおきている数あるトレンドのうちここにいる全ての人が1番気にしなければならないトレンドは何だと思う?”と聞いてみたのです。そうしたところDouglasはすかさず“民泊への流れだ”と答えました。

さらにスキーリゾートやホテルなどを運営している人が多い会場のオーディエンスに対して、“民泊を脅威と感じているか? 今後民泊にマーケットシェアを取られてしまうと思うか?”と質問したところ、何と、ほとんど全ての人から挙手が無かったのも事実です。

こんな流れからみて、僕は、世界およびこれから国内市場が本格的に立ち上がるであろう日本でも、今年はいよいよ既存のホテルが民泊に本格的にシェアを奪われ一部で苦しみ始めるのではないかと予測するわけです。

スイスで開催された「European Mountain Summit」の様子

スイスで開催された「European Mountain Summit」の様子

トラベルボイスより転載

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