【旅館再生:考】 消費税8%へ増税後の宿泊業は
よく話題にあがる
消費税8%アップ後
について話題にしてみましょう。
もう半年を切りましたね。
消費税が5%から8%にアップします。
既に平成9年4月1日に施行された5%の時のショック
で日本人は多くを学んでいます。
① 消費税は、定価(外税価格)よりも多く支払いをしなければいけない。
② 消費税増税前の段階では知覚的には認識しているものの、
体感的には施行日(26年4月1日)を越えて、支払いのタイミングが来ないと、
感じられない。
③ 同じものであれば安い方が良いという気持ちが強まる。
④ 千円単位購入の消費税と、万円単位購入の消費税は大きく違う。
などです。
これからの状況を宿泊業界の時系列に並べると、
【26年 3月以前】
≪消費者≫ 消費税が上がる前に安く買えるものを買っておく。
≪宿泊業者≫ 駆け込み需要が発生し、平日などが急に埋まる日が出てくる。
【26年 4月】
≪消費者≫ 実体験として多くの商品が高くなるのを認識して、安いものを
探し求める。安いものがなければ、消費を抑える。
≪宿泊業者≫ ブッキングカーブの反りが弱くなる。(予約が減る)
【26年 5月】
≪消費者≫ GWは泊まりに行くのではなく、日帰りに。(安近短化)
≪宿泊業者≫ 高単価で売れない日が出てきて3%安くするが、それでも売れない。
募集旅行やゆこゆこなどに販売チャンネルの主軸を移す。
【26年 8月】
≪消費者≫ GWやこれまでの4か月間の消費抑制にストレスを感じ、
反動で強い消費欲が出る。3%アップに慣れてきて、『そういうものか』と納得感を感じる。
≪宿泊業者≫ 税込売上のおかげで昨年対比100%超え。なんとなく安心。
【26年 10月】
≪消費者≫ この頃から1年後の消費税10%アップへの議論が再燃し、
消費がまた抑制される。
≪宿泊業者≫ 中間料金 12000円~15000円の宿の予約が大きく減少。
競合に対応するために、3000円~6000円の値引きを行う。
【27年 1月】
≪消費者≫ 消費税10%アップがほぼ確定し、駆け込み消費ではなく
さらなる消費抑制が始まる。
≪宿泊業者≫ 9800円がトレンド料金になり、1泊2食 4000円~6000円の宿が
たくさん出てくる。
こんな状況です。
この状況は極々自然に考えたシナリオです。
当然この波を受けない宿はたくさんあるはずです。その宿は現状でも、好調な宿です。
しかし現在、四苦八苦しながら経営をしている宿は、この波を受けます。
この消費税アップという外的環境から対策を考える上で、消費税の性質を
頭に入れなければいけません。
消費税は商品購買などの消費に対してかかってくる税金です。
例えば、
年収300万の人の可処分所得が90万円としましょう。
では、年収3000万円の人の可処分所得は900万円でしょうか?
いいえ、違います。
喉が乾いたら水分を含みたくなる訳ですが、金持ちだからって
1500円のミネラルウォーターを飲みますか?
違いますよね。105円の500mlボトルを買いますよね。
もちろん年収3000万円の人のお金を使う目的は変わってきますが、
年収 300万の人の可処分所得が30%でも、
年収3000万円の人の可処分所得は10%~20%程度になってしまうのです。
この割合が違うという事が、販売料金帯に大きく影響してきます。
これまで10000円~16000円の宿泊料金を設定している宿は、
お客様の可処分所得水準と共に料金を落とさなければいけなくなるでしょう。
逆に高単価で販売している宿は、これまでの層のお客様でも所得に余裕が
ありますので、単価を落とす戦略は不必要になります。
増税時の流れとしては、中途半端な料金帯がなくなり安いか高いかになります。
恐ろしいですよね。現状でもやっとの状態なのに、ここにさらに・・・。
でも心配ありません。
頭のいい方はもうお気づきだと思いますが、ここまでは全てお金(価格)の
事でしかこれからの状況を見据えていません。
そうです。
お金(価格)に関係ないところで勝負すればいいのです。
少し高いけど行かなければいけない宿になればいいのです。
簡単ですよね。
少し高いけど行かなければいけない宿になるには、
コンセプトが必要なのです。
強靭なコンセプトで、ブレを無くし、統一感を出し、お客様に分かりやすくするのです。
オンリーワンコンセプトで、新しい価値観を持った宿を作るしかないのです。
もっと旅館ホテル経営においてのコンセプトについて知りたい方は、
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