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【旅館再生】スタッフの心がバラバラな宿で“空気”を揃える3つの現実的な方法|再生は“気”からシリーズ③
スタッフの“気”がバラバラな宿はこう立て直す
実際に再生に成功した、空気を揃える3つの方法【第3回】
前回は、宿の“気”を整えるには「経営者の習慣」が鍵であるとお話ししました。
今回は、チームとしての“気”を揃える3つの具体策をご紹介します。
どれも現場で実際に成果を上げた方法です。
特別な仕組みもツールもいりません。必要なのは“本音で向き合う姿勢”だけです。
① 会社の「方向性」を繰り返し伝える
ある旅館では、スタッフの空気がバラバラになっていました。
口では「おもてなしが大事」と言いながら、何を優先すべきかの判断軸が揃っていなかったのです。
このとき経営陣がやったことはたった一つ。

「うちの宿は、こういう宿を目指している」
「お客様に、こういう体験をしてもらいたい」
「だから、現場ではこう動いてほしい」
このような“会社としての考え”を、現場に向けて繰り返し、わかりやすく伝えるようにしたのです。
会議だけでなく、朝の立ち上がり、夕方の雑談、休憩中など、何度も何度も。
人は、1回言われただけでは動きません。
10回聞いて、ようやく「そうだったな」と思える。
ぶれない方針を、日常の中で伝え続けること。
それが、組織の“気”を揃える一歩となりました。
② 社長が先陣を切って“懇親会”を開く
「うちのスタッフは壁がある」
「本音で話してくれない」
そんな宿に共通しているのは、業務以外での接点が極端に少ないことです。
ある再生案件では、社長がこんな一手を打ちました。
「今夜、近所の居酒屋で懇親会やるぞ。無礼講だ!」
スタッフからすれば、経営陣は“遠い存在”。
でも、酒の席では距離が一気に縮まります。

- 普段言えなかった不満を、お酒の勢いでぶちまける
- 経営者もそれを真剣に受け止める
- 最後は腹を割って和解する
形式ばった制度より、こうした“昭和の古くさくても効く”場の力が、現場の空気を変えていくのです。
信頼は、業務上のやり取りだけでは築けない。
人と人が素になって向き合う場が必要なんです。
③ 得意そうなことは「振ってみる」から始める
「これやりたい人〜?」と聞いても、誰も手を挙げないこと、ありますよね。
でも実は、“得意だけど自信がない”という人も少なくありません。
ある宿では、社長がこうして動きました。
「〇〇さん、SNS得意そうだよね。ちょっとインスタ任せてみようか?」
「△△さん、接客で話すの上手だから、お出迎え担当してみてくれる?」
最初は「え、私ですか?」と戸惑うスタッフも、
「3日間だけ」「2週間だけ」と期間を区切って任せてみることで、徐々に自信が芽生えていきます。
そして、好きなことだからこそどんどん上達していく。
“得意”は任せてこそ伸びる。
得意なことをやるから、楽しくなる。
楽しくなるから、空気が良くなる。
この“好循環”をつくるのが、経営陣の役割なのです。
まとめ:スタッフの“気”は、現場の“向き合い方”で揃う
- 方針は一度でなく、何度も何度も伝える
- 本音を引き出すなら、業務外の場で向き合う
- 向いてそうなことは、振ってみるところから始める
この3つを続けることで、
バラバラだった現場に少しずつ“空気の一体感”が生まれてきます。
「この宿、なんか気持ちいいよね」
そうお客様に感じてもらえるようになれば、再生はもう始まっています。