【宿プロデュース:考】食材原価をコントロールする

コンサルティングを行う中で、宿のコストバランスを調整するのに重要な項目として食材原価があります。

宿泊売上を分母とした構成比でいうとコストの20%~25%を占める構成要素で、人件費と並ぶ大きさです。当然大きな数字なのでこの部分を見直すことで大きな収益改善につながることが多いので、細かく見直します。

コンサルティングを必要とする多くの宿で、この食材原価がかかり過ぎている場合が多いのです。

その理由としては、

1)食材が直球過ぎる

要するに、食材をそのまま出して焼いて出す、そのまま蒸して出す、そのまま煮て出すなど、食材に手間をかけないことにより、原価ミックスが行われないので原価アップに繋がります。

例えば、鯛のお頭焼きは鯛一匹を使って1品となりますが、同じ鯛を使った料理で鯛飯はどうでしょうか?

同様に1品としてカウントされますが、低原価の白米と一緒にすることで原価は大幅に減らすことが出来ます。お米を使うことにより満腹感を得られますし、鯛飯はなによりもおいしいのです!

 

2)調理済食材を使いすぎる

私がこれまで関わってきた宿で不調の宿は、ほぼ100%が調理済食材を利用していました。もちろん、1品、2品、3品というレベルであれば問題ないと思いますが、多くの場合で50%以上が調理済の食材を利用していました。調理済食材というと色々ありますが、和風旅館などですと先付(上記写真の小さな料理が並ぶ黒銀の器)は冷凍の完成品利用が多いですし、焼き物やデザートは当たり前ですし、茶わん蒸しや煮物でさえも調理済の料理(パックに入っているもの)が使われていたりします。中には天ぷらでさえも冷凍品を使っているところも結構ありました。

良い悪いは置いておいて、誰かが調理してそれをパッケージに入れて、発送して、中間業者が入るという事で現実的には自分達で調理するよりも約3倍のコストがかかるのです。現在も関わる宿ではステーキやみそ汁、ご飯以外の食品はほぼ全て調理済の業務用冷凍食品を使っている宿があって、実際に出てくる料理と食材原価のバランスがおかしい事に驚いたことがありました。

私自身は調理経験がないので、私の範囲で言えることは数字的な事や味の事、市場での料理価値のレベルなどです。包丁を持って造り身を引いたり、盛り付けをしたりの手伝い程度の事は出来ますが、料理全般を組み立てたりは自身ではしていないので、当社ではその分野のプロに仕事をお願いしています。

前述の業務用冷凍食品9割の宿では、現在ほぼ全品を手作りしており、かつお節から出汁を取って、一匹の鯛を仕入れて柵にして、盛り付けまでほぼ素人だった方々が行っています。
「お客様が少ないからかつお節で出汁を取ると返って原価が高くなる。刺身は柵で仕入れた方が安いし、デザートは最近の冷凍食品って美味しいんですよ。伴さんっ!」と不調宿の板前さんに説法をされることが多いのですが、全部嘘です。出汁なんて煮物、鍋、みそ汁などで利用できるので、それぞれで調味料を調合するよりよほど安くなりますし、柵で仕入れるような魚はたいてい魚屋のダメな魚を柵にして持ってくることが多いので割高です。冷凍のデザートとちゃんと調理したデザートを比較する時点でアウトです。

そんな宿があるんだーって思う宿の方もいるかもしれませんが、板前さんはかなりの確率で調理済料理を利用して手間省きをしていますし、宿の味を落としています。長持ちするような業務用冷凍食品が美味しいわけがありません。

当社では宿の経営を安定させることを第一に、コンサルティングにおいて率先して調理部門の改革を行っています。中には調理場全員の総入れ替えをやったり、新しい原価管理に同意されない料理人さんが出て行って、素人のメンバーだけでプロの料理人の指導を受けて改革することもあります。

全ては、宿で一生懸命に働くスタッフの皆さんや経営陣の皆さんのために。

関連記事一覧

PAGE TOP